あたしは何なのか?
 自問自答という行為自体,自分は,あたしはしたことが殆ど無い。
 何故ならそんなことをする余裕さえなかったから。
 思考できる人間というのは幸せな者だ。しっかりとした教養を得られるというのは幸せな証拠だ。
 あたしにはその何れも存在しない,というか存在しなかった。
 でも初めて思った。思考が出来た。それはそれだけあたしが恵まれつつあるからという証拠。
 あたしはジュリア。ジュリア・バーシィ。
 ずっと商人の娘だと思っていたけど,実はそうではなくて大賢者の娘だった。
 悟りの書を書いた,世界的に有名な大賢者。
 それを聞いた瞬間,そして悟りの書の部屋に入った瞬間,あたしは今まで騙されていた,いや勘違いしていたのを覚えた。
 だから今こそ思考する。
 あたしは結局どんな父親の娘で一体自分は何が出来るのか,を。
 この,あたしの最高の居場所であるこのパーティに対して何が出来るのか,を。
 そんなことを思えるようになったのは,本当に偶然で,奇跡的で,そしてとても美しい流れによって生成された物。
 あたしはこれを捨てたくない。
 むしろ捨てられたくない。絶対に。



66 彼の手助けで女は両親の真実を知る




「貴方が,スバルちゃんに悟りの書の情報を流した人ね」
 ガルナの塔から帰還した時には朝になっていた。徹夜,ということになるが,彼女の仕事の関係上,徹夜は良くあることだったので別段疲れているというのは無い。
 彼女についてきたのは二人。シリウスとクルスの二人である。悟りの書を早速読みたいというスバルを宿屋に置いて,二人はジュリアの“ちょっと付いて来てくれるかしら?”という極めて珍しい提案を何のためらいも無く同意してここに来たというわけである。
 ジュリアを先頭にして丁度三角形を描くように彼ら二人は後ろへと立つ。その三角形の向く方向にダーマ神殿神官助手ヤキブ・ガルヌーイは居た。いつものように彼は青い髪と青い目をして白いローブを羽織っている。青年は目を丸くしながら答えた。
「え? そうだけど……君達は確かスバル君と一緒に居た……」
「ジュリアよ。後ろの黒い髪のがシリウス,ブラウンのがクルスよ」
 極めて簡単な識別場所,それは髪の色だ。出身や生い立ちによって髪の色は違うが,こうも完全に違うというのはこれはこれで珍しい。ジュリア自身は金髪だし,スバルは薄い青色だ。なのでジュリアは最も効率的な紹介の仕方を選んだ。そういう説明をするのはそれが現在あまり重要でないと彼女が考えている証拠である。
「それで? 今日はどういった用件だい?」
 青年,ガルヌーイは簡単に後ろの二人に会釈してからジュリアを再び見る。今彼は神官長に会う人の整理,つまり自分達が最初に会った時と同じ仕事をしていた。だから,
「神官長に会うための予約をしたいのかい? それならこの紙に名前と――」
「いいえ。そんなもの必要ないわよ」
 何時に無く彼女は真剣な言葉でガルヌーイを止める。いつもだったら妖艶な笑みと言葉で男性(主にシリウス)を誘惑する女性なのに,この場にいるジュリアは到底そんなことをするようには思えない。
「貴方,トマス・バーシィを知ってるかしら?」
 その名前を聞いた瞬間,ガルヌーイは一瞬だけ途惑った。
「あ,ああ。勿論だよ。近年の大賢者の名前を知らない者は賢者じゃないよ。それがどうしたんだい?」
 なぜそんなことを? と彼は首をかしげる。そしてその答えは直ぐにやってくる。
「あたしはトマスの娘よ」
「……なんだって?」
 目元を細めてガルヌーイはジュリアを見る。彼女は今,腰にオレンジのマジカルスカートを巻いている。上半身はピンクのキャミソール。靴は白のヒールに首や手に沢山のアクセサリーをつけている。全く持って偉大な大賢者の娘とは思えぬ派手な女性に,ガルヌーイは,
「本当かい?」
 と疑ってしまうのも無理はない。むしろ自然な反応だ。
 いくら賢者といえどもやはり第一印象は外見で決まる。彼女の纏っている,奥底にあるトマスの血の力を感じる〜などとそういう考えは極めて非論理的だ。人を識別するのは視覚情報とその人からの言葉の二点のみであり,気配で解るというのは妄想に過ぎない。
「ええ。本当よ。証拠は彼のその後の人生でどうかしらん?」
 と最後の部分で妖美な目線をガルヌーイに送る。ジュリアの美しい容貌と肌を惜しげもなく曝け出すそのセクシィさがガルヌーイの顔を赤らめさせる。しかし,彼は
「いや,それじゃあ信じられないよ。っと,いうかそれがもし本当だとして,一体何をするんだい? 僕に何をさせたいんだい?」
 要点,話の核の部分を訪ねるガルヌーイ。彼女の誘惑に耐えられるとは,伊達に賢者を名乗っていない。
「あら。話が早い人はあたしは好きじゃないわね」
 もっとじっくりと攻めて行きたいところだったのだが,彼女は直ぐにその笑みを無くす。
「単刀直入に言うわ。あたしの父トマスと知り合いだった人と会いたいの。それが最も可能性が高いのは,勿論神官長であるレオンバルド・オーラーよね? 彼に会いたいのよ」
 別に何をするわけでもない。何かしらのアクションを起こすわけでもない。ただ,自分の父親の大賢者時代の父親が一体どんな人だったのか? それが知りたいだけだ。しかし,父の知り合い,というのはつまり15年前から賢者だった者しかいないはず。となると最も高齢な人間が知り合いのはずだ。
 だから,ここで最も年齢が高いであろう男である神官長に会いたいということである。
「駄目かしらん?」
「……」
 正直な話,ガルヌーイは断るつもりだ。それがしたいのなら,今予約を入れてくれると3ヶ月後には対面出来る。それなら何も文句は無い。オーラーは忙しい身だ。今も一般住民に対してその者の性質,適正を見極める作業を行っているに違いない。そしてその順番待ちをしている者がこの空間には多数居る。
 だが,トマスの娘,となれば恐らくオーラーは喜んで会ってくれるはずだ。それは間違いないが,この女性がそうであるという保障が無い。そこが引っかかっているが故に素直に頷けない。だから断ろうとする。
「いや,残念だけどね……」「ガ,ガルヌーイさん」
 彼の言葉を遮るように,ジュリアの後ろで待機していたシリウスがおずおずと口を開いた。
「えっと……実は悟りの書を手に入れました」
「な,何だって!?」
 ガルヌーイの注意力が全てジュリアからシリウスに移る。スバルと同じく行動をしていたこの男が発見したのか? しかもこんなに早く,とガルヌーイはありとあらゆるパターンをシミュレーションする。
「ど,どこで手に入れたんだい? っていうか現物を見せてほしいんだけど……」
「えーっと,トマスさんの物なんですが。トマスさんは死んでしまってるのでその所有権はトマスさんの娘に渡るわけです。で,その娘がジュリアさんで,彼女がスバルに差し上げると言いました」
 突然の説明にガルヌーイは途惑う。
「それが一体どうしたんだい?」
「今悟りの書を持っているのはスバルです。ってことは悟りの書を見たいのならスバルに頼まなきゃ無理なんですよね」
「そうか。なら後でスバル君に頼みに行こうかな」
 うんうん,と頷くガルヌーイ。満足げな表情をしていたが,しかし直ぐにそれは変えられてしまう。
「えっと,ならジュリアさんだけでも良いのでその,オーラーって人に会わせてあげられないですか? スバルは僕達の仲間だから,彼女の持ち物は皆の物みたいなものです。ですから……」
「つまり交換条件ってことかい?」
「は,はい……」
 なるほどこれは上手くやられた感がある。上手い,えさだ。悟りの書は賢者の自分にとって更なる発展のために必要な,大賢者になりたいと思う自分にとって喉から手が出そうなくらい欲しいものだ。
 それ程欲しいのに今まで具体的なアクションをしなかったのはそれが確定的にあるとは思えなかったから。いくらなんでも今まで本を一冊も書かなかった男が失踪する直前に本を書く,なんて都合が良すぎるからだ。
 だからこそ,特に探しに行かなかったのだが,こうして手に入れたと言われれば欲しがるのは自然である。
 そしてその条件が,自分の上司であるオーラーと会いたい,ということならば。
「そんなの安すぎる交換条件だね。君達は仲間なんだし,皆で会ってくれば良いよ」
 と思いのほか快諾した。
「良いの?」
 ジュリアは再確認する。ここでまた別の条件を出されたりする可能性もあるために,喜ぶのはまだ早い。それにあまりにも快諾しすぎている。
「勿論。悟りの書を見せてもらえるなら,僕は何だってするよ」
 それは本心だ。それ程までに悟りの書の内容を見たいのだ。これは賢者の知的好奇心が極めて高いことに起因する。
 そしてそれが本当だということをジュリアはようやく受け入れて,
「やった〜! さっすがシリウス! いつもながら鮮やかねぇ〜」
 その言葉に最も喜んだのは勿論ジュリア。彼女はスバルが居ないのを良いことにシリウスに抱きつき,彼の顔を持って己の豊満な胸に埋めさせた。
「く,く苦しい……っていうか止めて……」
 と彼はじたばたとするが,しかしジュリアが離してくれるまで1分程度かかった。





「ほほ〜トマスの娘さんかいの。こりゃまたべっぴんさんじゃのぉ……」
 流石に忙しいのか直ぐに会える,ということにはならず,約束の日は次の日となった。日が明けて昼過ぎ,その時間を指定されたのでその時間通りに,ジュリアとシリウス,そしてクルスの三人は神殿の最奥へとやってきた。ちなみにスバルは未だに悟りの書を読み直しているそうで,その没頭さからシリウスの声もあまり聞こえないくらいだそうだ。
 神殿内の最奥には水路が作られていて,中央に少しだけ高くなっている場所がある。水路はその中央を囲むように敷かれていて,外へと向かっている。近くには炎が燃えさかっている松明があるが,しかし炎の恐怖感は皆無で,むしろ神聖さが感じられる。
 魔が世界を覆い尽くしても,そこだけは最後まで聖なる力で守られるのではないか,とさえ思われる。
 その少し高い場所に一人の老人が立っている。近くに椅子があるが,ジュリア達の姿を認識したとたんに,立ち上がった。恐らく人と会う時は立ってする,というのが彼のポリシィなのだろう。
「トマスの娘ってことは知ってるのかしら?」
「ほっほ。勿論じゃよ」老人は皺くちゃの顔を更に皺くちゃにして微笑む「トマスは優秀な男じゃったからのぉ。実に惜しい人材じゃった」
 少しばかり遠い目をする老人。
 彼の名はレオンバルド・オーラー。このダーマの神殿の神官長を勤めている老人である。神官長の特殊技能,というか神官長として必須の条件として人の適正を知ることが出来る。そしてその適正を本当に少しであるが変えることもだ。
 人には誰だって得意な分野がある。しかし得てして人はそれに気が付かない。向いていないのに商人の道を選んで失敗したり,才能が無いのに武術を学ぶ。そういった人間は数多い。
 そういう生き方もまた人生であるが,自分が一体何に向いているのか? それを知ることが出来るのはここ,ダーマの神殿の神官長だけである。一説によると何かしらの神の啓示を受けているとかそういう噂があるが詳しいことは知られていない。
 重要なのは,その適正診断が極めて正確なことだ。
「今一度聞くが,主はトマスの娘じゃろう? 顔がそっくりじゃよ」
 微笑みながらオーラーはジュリアの下へと近づく。懐かしい,そんな感じを込めて。
「まさか今日,ここで会えるとはの」
「お父さんの昔を知ってるのね?」
 ジュリアは半ば確信しつつ尋ねる。その質問に,オーラーはジュリアに十分に近づいてから
「勿論。それが聞きたくてここまで来たのか?」
「ええ。あたしのお父さん……大賢者ってのはもう聞いたけどどんな仕事をしていたのか〜とか,お父さんの噂とか,何でも良いから聞きたいのよね」
「ほっほ。元気な娘じゃ……っと,それを話すのは良いのじゃが,後ろの二人は紹介してくれないのかのぅ?」
 白い長い髭を蓄えたオーラーはその髭を持て余すように触る。少しばかり弄びながらその時を待った。
「あ,僕はシリウスです」
「クルスだ」
「ふむぅ。ジュリアよ。この二人に聞かれても良いのかの?」
 オーラーは確認する。何せ極めてプライベートな話だからだ。家族の会話を聞かれて困るかもしれない。だが,ジュリアは今更と言った感じで,
「そんなの当たり前じゃない」
 と何の躊躇いも無くそう告げる。
 それは既に彼女の心は彼らとともにあることを意味する。
 小気味良い返事が聞けて満足したのか,オーラーは少しだけ天井を見上げてから述べた。
「トマスは,わしの一番弟子じゃ。わしがまだ神官助手だったころ,トマスの才能を見抜いて賢者になるまでよう面倒みたわい」
 懐かしそうにオーラーは語る。
「賢者になるのに明確な時間というのは存在しないのはもう知っておるかの? 必要なのは魔法の理解力のみでその習得に膨大な時間がかかるために,一般人には無理だといわれているのじゃが……あやつはここダーマ大学に入学して実に3年足らずで賢者になりおったのじゃよ」
 ダーマ大学は基本的に2年間のみだ。それはつまり卒業してから1年で賢者の資格を得たということになる。凄まじいスピードだ。
「まぁそのスピードはわしが魔法の全てを教えたからなのじゃがな」
 一般に魔法は本から学ぶものだ。知っている者から教えてもらうということは殆ど無い。なぜなら本から学ぶことこそ知識を増やす,王道というべき道だからだ。人から教えてもらう。それは言うなれば与えられた問題に解答が与えられているのと同じだ。勿論理解はしなければならないが,随分と楽になるのは間違いない。
「それでも3年は早いの。じゃから,あの男は大賢者と呼ばれるに至るのじゃが……そうそう,トマスの性格。知っておるか?」
 オーラーがジュリアに話を振る。いきなり尋ねられても彼女は真剣にその話を聞いていたので,直ぐに反応することが出来た。
「さぁ? 記憶の中にあるお父さんはとても優しかったわ」
「ふぅ〜む。それはやはり彼の妻,お主の母イリスが死んだことによって変わったのじゃろうな」
 うんうん,とオーラーは頷く。
「彼が賢者になるまでは,それはそれは勤勉な男じゃったのじゃが……賢者になったとたんに,それはもう問題児になってのぉ……ああ,問題児と言っても悪ガキというわけじゃない。むしろモンスター討伐に燃えた男じゃな」
「そうなの? お父さんがねぇ……」
「うむ。賢者としての仕事。つまり学生への講義などをほっぽりだして,しっかりとした収入も無いくせにモンスター狩りばかり行っていたのじゃよ。毎日毎日ルーラで世界中を飛び回って,モンスターを狩る。あやつは引き際もわきまえておるからの。ピンチになったら直ぐにルーラでここまで撤退する,という抜け目無さもあったのぉ」
 まるでシリウスみたいな戦い方にジュリアは少しだけ苦笑し,シリウスは頭を掻く。
「結婚してからは幾分マシになっての。イリスにべったりじゃったのぉ。いやはやイリスもまたべっぴんさんじゃったよ。主のその抜群のスタイルは母親譲りじゃな」
「お母さんは昔何をしてたの?」
 あまり気にしないことだが,興味本位で尋ねる。
「ん? イリスは踊り子じゃよ。アッサラームのトップダンサーじゃったらしいが,トマスと一緒になってからは引退してガルナの塔でお主と平和に暮らしてたわい」
 なるほど。繋がった。
 母が死んだ後,アッサラームへと引っ越したのは母の故郷だからだ。だからトマスは賢者を辞めてそこに行ったと。
 極めて論理的な行動であるが,むしろそれなら。
「ゆかりの地だったら,トマスさんがアッサラームに住んでいるってことはすぐに推測できたことなんじゃないですか?」
 とシリウスは申し訳ないと思いつつも尋ねてみた。その問いにオーラーは少しだけ目を細めてそして微笑み,
「勿論じゃよ。じゃがの。イリスがアッサラームのトップダンサーだったという事実を知っておるのはわしだけじゃ。じゃから他の者がトマスがどこに行ったのかなんてことは知る由も無く,そしてわし自身はトマスの生き方を見守ってやりたかったからの。黙っておったわい」
 ほっほっほ,と笑うオーラー。弟子の生き方について邪魔をしたくなかった,というのは彼の本音だ。大賢者であろうとも,妻を失った辛さは,オーラーでも判ることで,その事実を知っていたからこそ,今までトマスに関しては何も言うことは無かったのだ。
「トマスの全てを知っておるのはわしだけ。流石にこの年でそんなことで優越感など感じないからのぉ。それならトマスと残された娘の幸せを静かに願うのが筋じゃろ?」
 とオーラーはジュリアを見る。すると,彼女の瞳からはいつの間にか大量の涙が流れていた。
「ほっほっほ。両親の昔話を聞いて少しばかり感傷的になってしもうたかの?」
「……そんなんじゃないわよ」
 と言いながら両手で涙を拭う。
(もう,こんなことなら二人を連れて来るんじゃなかったわねぇ)
 24歳にもなって,まさか両親の昔話で涙を流すとは。両親の死は既に受け入れていると思っていたがどうやらそうではないらしい。
 それすらも考えられなかった程に切迫した生活を送っていて,その件に関しての整理を後回しにしていただけだ。
 親の死に対する涙さえも,後回しにしなければならない程,生活に困っていた。彼女の人生は,正に絶望に満ち溢れていたといえよう。
「お主の容貌,体は間違いなく父トマスと母イリスの血を受け継いでおる。そして二人共立派な親じゃった。わしが保障する」
「ええ。ありがとう」
 それさえ聞ければもう何もいらない。今まで不安定だった両親のビジョンが今は極めて鮮明に思い浮かべられる。それはある程度は妄想によるものかもしれないが,殆ど正解だ。立派な父と自らを生んでくれた母の愛情は十分だったのだ。二人が死んで極めて苦しい生活を送り,親を恨んだこともある。だが,それは全て追い詰められた彼女の,それこそ“妄想”なのだ。
「ふむぅ。まだまだ語りたいことはあるが。どうするかの? 例えばお主の小さい頃のおねしょ話などなかなか……」
「ちょっと! 何でそんなこと知ってるのよ!」
 突然のふざけた会話にジュリアの顔が赤面する。彼女が赤面するなどこれは極めて珍しいことだ。いや,実際普通に恥ずかしい内容なのだが。
「そりゃ,わしは主が生まれた時から知っておるからのぉ。トマスの親ばかっぷりな話もまだしておらんし。ネタはふんだんにあるが……」
 オーラーの笑みが邪悪に見える。そしてギャラリーがそれを煽る。
「ほぉ。そりゃ面白そうだな。極めて興味がある」
「ちょっとクルス! 何言ってんのよ!」
「いや,そりゃお前の弱点的なところになりそうだからな。弱みってーのは知っておきたいだろう?」
「うっさいわよ! 黙りなさい! そんなことより,折角なんだから適正見てもらいなさい!」
 無理矢理話題を変える様に必死になってジュリアが叫ぶ。恐らくその声は扉の向こう,つまりガルヌーイまで聞こえたに違いない。
「むぅ。そうかのう……」
 とても残念そうに,そう述べるオーラーと
「っち,まぁ良いや。爺さん今度ゆっくり聞かせてくれよ」
 とよからぬことを言うクルス。その流れを傍観していたシリウスはただ“知りたいけど知ったらスバルに殺されるんだろうなぁ”とそういうことだけを考えていた。









67 に続く








あとがき

 はい,どうも星立です。

 で,次の話は職業についての話です(予告風味)。

 それでは次回 67 でお会いしましょう,ではでは〜